竹山団地16-2ブロックは、犬や猫などのペットの飼育が可能な団地です。ペット飼育者が集まる「ペットの会」にお邪魔して、皆さんがペットとどのように暮らしているのかお話を伺ってきました。
ペットNG→ペットOKな団地へ
団地ジャーナルの読者の皆さんは、団地でペットが飼えるというのは意外な気がしませんか?それもそのはず、ペットが飼える団地は、とても少ないのです。分譲団地に関してはデータがないのですが、参考にUR賃貸住宅でペット飼育可能な団地は、横浜市内の119団地中、1件のみ、つまり1%未満です(2019年UR住まいガイド神奈川県版より)。
実は、竹山団地は元々ペット飼育不可の団地でした。しかし、ペットを隠れて飼う人はどうしてもでてきます。2006年にその対応策として、ペット飼育は原則禁止だが、例外として今飼っているペット1代に限っての容認に踏み切りました。
ところが、今度はペットを容認したことにより、新規の入居者がペットを連れて引っ越してくるようになります。そうすると、いつまでも誰かがペットを飼っている状態が続きます。
それならば、いっそペット可にしたらどうかという声が上がるようになりました。2011年「ペットと共生できる住まいづくりをすすめる」という考えを長期計画に盛り込んで、合意形成を図っていきます。ペットがもたらす癒しや生きがいという利点に加えて、ペットの会を設置し、飼育者のマナー向上や、野良猫へのエサやり禁止の徹底などについても議論を重ねていきます。
2014年に、まずは猫の飼育を解禁しました。それに加えて、飼育細則やペットの会の会則などルールを整備した上で 、翌2015年に犬の飼育も解禁し今に至ります。
お困りごともみんなで共有できるペットの会
現在ペットの会は、ペット飼育者同士の情報交換や飼育マナー向上のために、年に4回くらい開かれています。それでは、皆さんがどのようなお話をされているのか、早速覗いてみましょう。
この日は、ペットの会に初めて参加する方がいらっしゃったので、まずは皆さんご自身と飼っているペットの紹介をすることになりました。ペットの話が始まると、少し緊張した空気で始まった会も、いつの間にか皆の顔が和んで笑顔に変わっていきます。
お互いの可愛いウチの子自慢も、ペット好きには楽しい話題です。横で聞いている私もついつい、「うちの猫は体重が9㎏もあって、棚にのぼれなくなっちゃったの」なんてお話に笑みがこぼれます。どうやら、ペットの会はペット好き同士がペットトークできる楽しい時間にもなっているようです。
この日の盛り上がった話題1つ目は、猫のエサについて。発端はIさんが「最近うちの猫にペースト状のエサをやってみたら、見事にハマっちゃって。凄く食べたがるんだけど、お腹いっぱいになるまであげちゃっていいのかな?」の一言から。
すかさず、「うちもハマってる」「中にマタタビが入ってるらしい」など、合いの手が入ります。「うちの猫はペースト状のエサは食べなくて、カリカリしたものしか食べないよ」「○○メーカーのエサがいい」なんていう話も飛び出し、結局ペースト状のエサについては「1日4本までは大丈夫って書いてあるから、そんなに気にしなくていいんじゃない!?」という結論で落ち着きました。
その後も、ペットの毛の処理をどうしている?というテーマで話は弾みます。
「掃除機でこまめに吸ってる」なんて声もあれば、「専用の空気清浄機があるよ」「どこのメーカー?」なんて声も聞こえます。「カーペットとかを掃除するコロコロあるでしょ。最近は犬(チワワ)の体に直接コロコロするようにしたの。そしたら、犬に避けられるようになっちゃった。」なんて話も飛び出し、みなさん大笑い。
ひとしきり話して、少し落ち着いたところで、今度はペットの会の会長の稲葉さんが持ってきたペットの資料で少しお勉強タイムです。今回は飼っている人の多い、犬と猫の特性についてクイズを通して学びます。
ペットを飼うということは、楽しいことだけじゃなく、ペットの世話をしたり、しつけをしたりするなど責任が伴うことでもあります。特に集合住宅であれば、他の居住者に迷惑が掛からないようにルールやマナーを守ることがとても大事です。そんなことも、みんなでこうして楽しく学んだり、問題を共有したり、話し合ったりする場が用意されているのはペットを飼う人からすると心強いですし、ペットを飼育していない方たちも安心できますよね。
ペット×団地=快適?
さて、ペットの会のみなさんは、団地でペットを飼うことについてどのように感じているのでしょうか?前述の通り、ペット飼育可能な団地が少ないこともあり、ぜひ聞いてみたい質問でした。団地ならではのペットの住まい方はあるのでしょうか?皆さんにお聞きしました。
「私は猫と住める環境のいいところを探して、昨年8月に竹山団地に引っ越してきました。前は市街地に住んでいて、日当たりや景色があまりよくなかったので、猫にかわいそうだなと思って暮らしていました。でも、竹山団地に引っ越してきてからは、(猫が)窓際から外を眺めたり、たまにバルコニーで日向ぼっこしたり。猫のストレスが減ったように感じて、とても嬉しいです。」
今回ペットの会初参加のMさんがそう話すと、「部屋から見える景色がいいみたい」「うちも、野鳥が飛んでくるのを目で追っているよ」と同じように思っている人が多いようです。
「やっぱり団地だから、よく区画整備されて歩道も広くて散歩しやすいんでしょうね、うちの団地の中の人だけじゃなく、外からうちの団地に犬を散歩しに来ていますよね。あと、公園も多いし、池もあるから散歩する犬も人間も気持ちがいいんじゃないかな。」そう話すのは、今回親子で参加されたKさんです。
仕事でマンションの管理人をしているというSさんからは、こんな話もありました。
「職場のマンションもペット飼育可なんですが、他の人に迷惑かけないようにということだとは思うんですけど、飼い主が犬を抱えてそそくさと共用廊下を去っていくんですよ。ペット飼育可のマンションなのに、なんか悪いことしているみたいな雰囲気を感じちゃって。そう考えると、うちの団地は皆さんの理解があるお陰で、大らかな気持ちで飼えている感じがします。」
竹山団地16-2ブロックでは、ペットの会ニュースを管理組合ニュースと一緒に回覧板で全住戸に回しています。そのニュースでは、毎回「苦情はどんなことでも遠慮なくペットの会に言ってください」と伝えていたり、飼っているペットの紹介をしたりして情報共有に努めています。ペットの会の活動を会員だけでなく、居住者全員に共有するようにしていることがそういった“大らかさ”に繋がっているようです。
現在、ペットを飼っている世帯は約15%に増え、新規の入居者も順調に増えています。ペットと共に暮らしている皆さんの楽しいお話を伺って、ペットが皆さんの暮らしを豊かにしてくれることはもちろん、ペットという共通の話題で住民の心の距離を縮めてくれることや、ペット好きの新規入居者を増やしてくれることを感じました。人もペットも楽しく豊かに暮らすために、きっとこれからも皆さんのチャレンジは続いていく、そんな「ペット共生団地」竹山団地16-2ブロックからますます目が離せません。
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竹山16-2団地管理組合法人
村上亜希枝(むらかみ・あきえ)/ライター
団地を愛する宅地建物取引士。多摩ニュータウンの不動産会社でお客様に団地を薦めているうちに、自身がすっかり団地好きに。現在は「 団地に住みたい人を、増やしたい!」を軸に、主に昭和期に建てられた団地の活性化に日々取り組む。趣味は団地巡り、山登り、アクセサリー作り。アキヱ企画代表。団地女子会メンバー。
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